下肢の病気について

下肢の病気のイメージ写真

股関節から足先までを下肢と言います。この部分に痛みやしびれなどの症状が現れる疾患としては、筋肉や骨に障害があるもの、頚椎や腰椎など脊椎に関わるもの、末梢神経に関わるもの、動脈硬化など血管に問題があるものなどがあります。末梢神経や血管の疾患に関しては、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が深く関係しており、内科との連携も重要になります。

筋肉や骨、脊椎に関わる症状は、加齢による変性、外傷、スポーツや作業等によるオーバーユース(使いすぎ)などが原因となって起こります。また成長期のお子様によくみられるものもあります。当院では下肢の痛みやしびれが脊椎からくるものか、糖尿病からくるものなのかといったことを、検査などを通して見極め、適切な治療を行っていきます。

主な下肢の病気

足根管症候群

足の内側のくるぶしの後ろを通る神経(後脛骨神経)が圧迫を受けて、足先の痛みやしびれが生じる病気です。この神経は足根管と呼ばれる空間に位置しており、何らかの原因でこの空間が狭くなると発症します。原因としては細菌感染や痛風、リウマチなどによる関節の炎症からくる腫れ、心不全や腎不全による足のむくみ、骨折や捻挫などの外傷、さらに良性もしくは悪性の足の腫瘍などが挙げられます。また偏平足など、内側に負荷がかかる状態が続くことでも発症する場合があります。

治療としては、腫れやむくみの原因となっている疾患、また外傷に関して、その治療を行います。痛みの改善としては、消炎鎮痛剤やステロイドなどの薬剤が使用する場合があり、ステロイド剤の足根管内注射も有効とされています。また足に合った靴を選ぶ、足底版(インソール)を使用するなどして圧迫部の負担を軽減し、リハビリによって症状の改善を図る場合もあります。

扁平足

扁平足は、足のアーチが無く土踏まずの部分が平らになったものです。小児期からのものは問題ないことが多いのですが、中年以降で発症する偏平足は、内くるぶし周辺の腫れと痛みを伴うもので、歩行に支障をきたすことがあり治療の必要があります。中年以降の女性や肥満体形の方に多くみられ、長時間にわたり立ち仕事をする、急に体重が増えた、といった場合や、スポーツによる使い過ぎ、外傷や手術の影響などが原因となり、腱に炎症がおきるなどして発症します。

治療としては、足の形に適した靴や、アーチ形をサポートする足底挿板(インソール)を装着した靴を履くなどの装具療法、足の指を曲げたり、つま先で立って踵同士を合わせたり、足の裏の外側を使って歩いたりといった運動療法があります。強い痛みがある場合は、消炎鎮痛薬の塗り薬や飲み薬を使用することもあります。

モートン病

幅の狭い靴やハイヒールを履くことなどにより、指と指の間の神経が圧迫を受けて障害され、発症するのがモートン病です。足の指の神経は骨の間を通ってそれぞれの指に向かって走っています。骨の間の狭くなっている部分では、外力の圧迫によって神経が障害されやすくなっています。とくに第3趾と4趾の間で発症することが多く、次いで第2趾と3趾の間で起こりやすくなっています。扁平足や外反母趾がある場合、発症しやすいようです。

症状としては歩行時の指の付け根のしびれや知覚異常(異物が入っているような感覚)などがあり、画鋲を踏んだような鋭い痛みを感じる場合もあります。治療としては、まず幅の狭い靴やハイヒールなどを避けるようにし、痛みの改善としては消炎鎮痛剤の内服やステロイドと局所麻酔薬の局所注射を行います。改善がみられない場合は、手術による治療を行う場合があります。手術では障害によって生じた神経腫を切除します。

外反母趾

外反母趾は足の親指(母趾)が外側に曲がった状態で、母趾の付け根が突出して靴に当たり、赤く腫れて痛むなどの症状をきたします。進行すると足の裏にタコ(胼胝)ができたり、母趾が2番目の指を押して第2趾や3趾が変形したり痛んだりする場合もあります。外反母趾の原因としては、生まれつきの足の形のほか、加齢により足のアーチが崩れや合わない靴を履くといったことが考えられています。

外反母趾の治療としては、まず母趾を圧迫するような形状の靴を履かないようにし、その上で母趾を引き戻すゴムひもなども使ったストレッチ運動や、足底挿板(インソール)によって足の形を整えていく治療が中心となります。こうした保存療法では改善がみられない場合、手術を行うことがあります。